1938年にZeiss Ikonによって発表されたTenax IIは、35mmフィルムを使用して24mm x 24mmの正方形ネガを生成するユニークなカメラでした。これに続いて、1939年にはよりシンプルなTenax Iが発売されました。Tenax Iは、固定レンズと折りたたみ式ファインダーを備え、連動距離計が省略されていました。戦後、東ドイツのZeiss IkonはTenaxの生産を続け、1953年には固定ファインダーと巻き上げレバーの指当て(招き猫の掌部分)を黒にしたデザインに変更しました。このカメラは、西ドイツのZeiss Ikonの商標権を使用できなくなったため、TAXONAとして販売されるようになりました。TAXONAロゴが刻まれた同じ面にはエルネマンタワー(ドレスデンにあった本社ビル)が刻まれており、またレンズTessarの前にはGütezeichen der DDR 東ドイツ品質証1Qマークが刻印されています。
TAXONAは、37.5mm f3.5 Carl Zeiss Jena Tessarレンズを搭載した手動で距離をセットする35mm正方形フォーマットカメラです。最短焦点距離は約0.8mで、シャッター速度はバルブから1/300秒まで設定できます。耐久性のある黒の巻き上げればーが左側にあり、フィルムを進めると同時にシャッターをチャージします。シャッターはレンズの右側にあるレバーを押すことで作動します。
TAXONAの独特な巻き上げ機構もTenaxと同じく非常に重く、無理やり巻き上げるとフィルムを破損することがあります。最初にフィルムをセットするときにずれたり曲がったりしないように丁寧に行わないとすぐに全く動かなくなってしまいます。巻き上げが固い場合、パトローネ側のフィルムを少し緩めることでスムーズに巻き上げられるようになります。普通に撮影するにもコツが必要なのがこの時代のカメラの面白いところですね。
TAXONAにもNovarレンズ搭載モデルがありますが、Tessarレンズの方がより良い写りのように思います。TAXONAは古典的なフィルムカメラの魅力と機能性を兼ね備えた、特別な存在感を放つカメラであると言えます。
カラーネガフィルムで撮影してみました。最初の一枚でフィルムが噛んでしまい、一旦巻き戻して丁寧にセットし直して一本なんとか撮影できました。レンズもまずまずキレイなのでそこそこちゃんと撮れていると思います。シャッタースピード文字盤の間隔が1/100と1/300の間が空いていて小窓からは1/100から先は真っ白に見えたので1/300があるのを忘れており、ASA400のフィルムを使ったので明るい屋外だと完全に露出オーバーになってしまったコマもありました。他にキャップの外し忘れが3コマ、巻き上げが十分でなく一部二重露光した箇所が2箇所ありました。興味は尽きません!
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