受け継がれた機械式の魂と私の原点
PENTAX KXの概要
1975年に旭光学(ASAHI OPTICAL CO., LTD.)が発売したPENTAX KXは、Sシリーズの伝統を受け継ぎながら、TTL中央重点測光方式やシリコンフォトダイオード(SPD)を採用した進化型の35mmフィルム一眼レフカメラです。完全機械式の布幕横走式フォーカルプレーンシャッターを搭載し、電子制御を介さずとも撮影可能な信頼性を持っていました。
また、銀蒸着ペンタプリズムを採用し、明るいファインダーを実現。ミラーアップ機構や透視窓によるファインダー内の絞り確認といった機能も備えた、当時としては高度なマニュアル専用機でした。
KXは私の原点
PENTAX KXは、私が高校1年生の時に親に買ってもらった初めての自分専用カメラでした。それから社会人になり、Canon EOS 650(EFマウント初代機)を手にするまで、十年以上にわたり私の相棒として活躍しました。
当時のKXは、高級機のNikon FシリーズやCanon Fシリーズ、そして世界最小・最軽量のOlympus OM-1に挟まれ、市場で苦戦しました。しかし、その堅牢な造りと優れたファインダー視認性は、実際に手にした者に確かな満足を与えるものでした。
KXとMX / MV1の比較

1976年11月、旭光学はKXの後継機としてMXを投入しました。MXは、**OM-1よりもさらに小型化(幅・高さ・厚さそれぞれ0.5mm小さい)**され、コンパクトなボディにプロ仕様の機能を凝縮。「KXを買ったユーザーは、みんな1年待てばよかったと思ったはず」と言われるほどの完成度でした。翌月には絞り優先AE専用機という大胆な仕様のMEが発売されています。(🔗PENTAX MEのレビュー)
一方で、1979年にはMV1が登場。これは徹底的なコストダウンモデルで、軍艦部がプラスチック製に変更され、シャッタースピード表示も廃止されました。さらに「ASAHI」や「AOCO(旭光学)」のロゴも省かれ、機能を割り切った設計となっています。
Kマウントの意義
KXを含むKシリーズ(K2/KM/KX/MX/ME/MV1)は、1975年のPENTAXのバヨネットマウント移行を象徴する存在でした。それまでのM42スクリューマウントから、より操作性の高いKマウントへと切り替えられ、のちに世界的に普及する規格となりました。
その後、PENTAXのKマウントは長い歴史を持つマウントシステムとして現在に至るまで存続し、多くのレンズ資産を活かせる設計になっています。KXは、そんな時代の転換点を担った機種でもありました。
45年越しに手に入れたMX/MEと、再び蘇ったKX

KXを使っていた当時、MX/MEを買えなかったことを少し悔しく思っていました。しかし45年の時を経て、ようやくMX/MEを手に入れ、KXと並べて楽しめるようになりました。そして、今回のWeb写真展『Tracks of Time – Kyoto, A Journey Through Memories』をきっかけに、再びKXにフィルムを通し、当時と同じ場所で撮影する旅に出ました。
時を超えて、私の「軌道」は再びKXとともにあります。
コメント