PENTAX SP 修理記録

修理

1ヶ月の入院を終えて 往年の名機 Asahi Pentax SP (Spotmatic) が、修理と調整を経て無事に手元へ戻ってきました。このカメラは TTL(Through The Lens) 露出計内蔵一眼レフ の最初期機種のひとつであり、フォトキナ1960で発表された時点では「世界初」となるはずでした。しかし、発売に4年を要した間に東京光学(現トプコン)が トプコン RE スーパー を市場投入し、「世界初」のタイトルは譲ることになりました。
それでも、SPは商業的に大成功を収め、国内180万台、世界で400万台以上 を売り上げるベストセラー機となりました。10年にわたる生産の間に様々な改良が加えられ、中古市場では数多くのバリエーションが存在します。

私の個体について 今回の個体は シリアルナンバー290万番台、ちょうど生産の中盤に位置するモデルです。レンズは Super Multi Coated Takumar 1.8/55(シリアル620万番台)で、1972年頃の製造と推測されます。

オークションでの購入と現状確認 オークションサイトで購入したこのカメラの出品情報には、以下のメンテナンス内容が記載されていました。

  • ファインダー・プリズム清掃(腐食なし)
  • スプリットスクリーン清掃(若干のゴミあり)
  • 露出計動作確認(精度不明)
  • ミラー清掃(状態良好)
  • シャッター・巻き上げ機構の潤滑
  • モルト交換
  • シャッタースピード確認(B~1/1000まで正常動作)
  • レンズ清掃・絞り機構確認

初見では外観も動作も問題なし、「当たり」かと思われました。しかし、使用してみると 露出計の動作がおかしく、電池の+ーを逆にしないと針が逆に振れる という奇妙な現象が発生。フィルム感度やシャッタースピードの設定に応じて変化するものの、値は大きくズレていました。

修理と調整の過程 TTL露出計内蔵がSPの目玉機能である以上、露出計が正常に動作しないのは致命的です。素人メンテでは手に負えないと判断し、PENTAX修理の名店へ持ち込みました。

修理後に店主から「なかなかすごかったですよ」と言われました。上部カバーを開けた写真を見せてもらい、思わず「おお!」と声が出ました。配線が間違っているのもありますが、超ベテランの店主もこんな太い線で雑に修理したのは見たことがないそうです

  • 配線ミス(過去の修理で誤った接続)
  • 異常に太い配線が使われていた(修理歴の影響)
  • スローガバナー油切れ(シャッター機構の異常)
  • ミラーショック止めモルトの劣化
  • ファインダープリズムのズレ
  • ピント調整のズレ

これらの問題をすべて修正し、

  • 配線のやり直し
  • グリス混入の除去と再注油
  • 露出計の精度調整
  • ミラーショックの軽減処理
  • レンズ清掃

などを施してもらい、極めて快調な動作を取り戻しました。

まとめ PENTAX SPは、たとえ「世界初」のタイトルを逃したとしても、その後のM42マウントの普及に大きく貢献し、日本のカメラ産業を牽引した重要な存在です。今回の修理を通して、改めてこのカメラの歴史的価値と、オリジナルの機能を維持することの大切さを実感しました。素人修理で無理・無茶をせず難しい修理は名人に!
オークションのメンテ情報の鵜呑みは禁物。

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