Super Paxette II

ドイツ系

Paxetteは、1950年代にドイツのBraun Nürnbergが製造したコンパクトな35mmフィルムカメラです。当時、日本にはほとんど輸入されなかったため馴染みは薄いものの、シリーズとしてロングセラーとなり、さまざまなモデルが発売されました。今回紹介するモデルは、Super Paxette IIで、特徴として距離計連動レンジファインダーM39マウントによるレンズ交換、およびダブルコッキングレバーによるフィルム巻き上げ機構を備えています。装着されているレンズは、STAEBLE-KATA F2.8/45mmです。

レンズマウントはM39スクリューマウントですが、ライカのL39マウントとは口径は同じでも互換性はありません。複数のメーカーがPaxetteシリーズ向けにレンズを供給しており、Zeiss製レンズがある一方で、セットレンズには主にSTAEBLESteinheil製のものが多く採用されています。なお、モデルによっては距離計連動機構がない場合もあるため、レンズも距離計連動対応のものと、そうでないものが存在します。レンズを別途購入する際には、これに注意が必要です。

このモデルは、Leicaレンジファインダーに搭載されているフォーカルプレーンシャッターとは異なり、PRONTOR-SVSシャッターを搭載しています。PRONTOR-SVSシャッターは、ドイツのシャッターメーカーであるGauthier社が製造したもので、ボディではなくレンズとボディの間に固定される**レンズシャッター(リーフシャッター)**です。シャッター羽根がレンズの中央に配置されており、この構造は、フォーカルプレーンシャッターのようにシャッター幕がフィルム前を移動する形式とは異なります。シャッタースピードの上限は1/300秒ですが、シャッター音は非常に静かです。

ボディサイズは、同年代のレンジファインダーカメラの代表格であるLeica M3と比べるとかなりコンパクトですが、実測で570gを超え、手に取るとしっかりとした重量感があります。鉄の塊を持ち歩いているような感覚です。対照的に、後年登場した超コンパクト35mmカメラのリファレンスモデルRollei 35は、わずか350g程度しかありません。

試写して現像してみるとSTAEBLE-KATA F2.8/45mm は思ったよりすっきるとした写りでした。絞り込んでとると癖もなく被写体や光線の向きを選ばない撮りやすいレンズだと思います。

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