自動絞りが搭載される前のカメラとレンズでは
- 開放絞りでのフォーカシングとフレーミング
- ファインダーから一旦目を離して絞りのセット
- 改めてファインダーを除いて絞り込んだ状態で撮影
という流れになりかなり面倒な事は前回書きました。この使い勝手の悪さを改善するため、1950年代の一部レンズにはプリセットという機能があったようです
1953年頃に製造されたM42マウントのCarl Zeiss Jena Tessar 50mm F2.8のシルバー鏡胴モデルは絞りのプリセットが可能です。プリセット=事前に絞りをセットしておく、ということですね。画像の通りレンズの前面(向かって右)に絞り環とプリセット環が接するように2重に配置されています。通常はプリセット環はスプリングによって右に押されて絞り環と噛み合って一体で動くようになっています
プリセット環を持ってスプリングをボディ(左)側に押し込むとプリセット環は絞り環と独立して動くようになります。プリセット環の赤いマークを特定の絞り値にプリセットする(前方にもどす)と絞り環はそのプリセットされた値よりは絞り込めなくなります(解放からプリセット値までが絞りの可動域になります)
※画像左上、ブリセット5.6、絞りは解放
これによってファインダーから目を離すことなく可動域いっぱいに絞り込むことでプリセットされた絞り値となります
※画像左下、ブリセット5.6、絞りも5.6
シンプルな仕組みですがこれでもストレスはだいぶ軽減されます。「なるほどね」
ちなみに昔のレンズをデジカメにマウントアダプター経由で装着して撮影する場合、自動絞りのレンズだとうまくシャッターと同期して絞り込めずいつも開放絞りになってしまうケースも多いので要注意ですね。プリセットを含めマニュアル絞りのレンズの方がかえって使いやすいとも言えます
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